これから新規クリニック開業をしようとしているドクター、開業場所が中々見つからないドクター、内装費は本当に適切な数字なんだろうかと思っているドクター、色々なお悩みにお答えいたします。
相談
 今回は、8月に開業後の経営不振と新規開業の相談をしてきた、2人の先生のことを書きます。
 最初は、開業してから8か月経過したが外来数が1日平均15人しか来ないので、相談に乗って欲しいと連絡があったケースです。A先生は、開業前に本業以外に開業コンサルタント業務を行っている有名なB社から、群馬県T駅から徒歩20分の住宅地にあるテナントを紹介されて開業したようです。B社の市場調査では、1日推定外来数が60人以上見込めるとのことで、B社以外のCコンサルタント会社も同じような内容だったとのことです。

 そこで、簡易市場調査を行った結果、1日推定外来数は21人から23人しか算出されないのです。これでは、特殊な治療方法で広範囲から集患を行わない限り、いくら広告・宣伝等の集患対策を行っても損益分岐点には乗らないでしょう。A先生には申し訳ないのですが、詳細な市場調査を行いその結果で移転するか勤務医になるかの選択をするしかないのではと、回答しました。
 私の想像では、A先生が相談したB及びC社は同じような市場調査ソフトを使用しているので、1日推定外来数が同じような数字になったのでないかと思います。毎度、同じことを書いていますが、市場調査ソフトは、診療圏の阻害要因を無視し、受療率の数字が大まかであり、人口データが古く、競合施設の競争力を無視しているので、計算された数字はほとんど信用できないのです。特に内科は、一部の地域を除いて殆どあてにならないのです。
 これからも、このような施設が出てくるのかと思う、悲しい気持ちになります。市場調査に疑問がある場合は、ご連絡をいただければ、出来る範囲でアドバイスをさせていただきます。

 次は、神奈川県のD駅前でEコンサルタント会社から紹介された物件が、新規開業に適しているかどうかの相談をしてきたケースです。F先生(内科)が紹介された住所を聞いて、簡易市場調査を行いました。調査結果は、1日推定外来数が35〜38人で内科の損益分岐点すれすれの数字でした。
 次に、物件の平面図を見せてもらうと、建物は6階建てで1階に調剤薬局が入居予定で、2、3階がクリニック、4から6階がマンションでした。F先生は2,3階を賃貸して診療するとの事でしたが、この2階から3階へ行く内階段がないのです。通常、保健所は患者様とマンションを使用する人の階段は別々に設置しなさいと指導します。


 
 そこで、管轄の保健所へ平面図を持参して開業できるかどうかの確認に行きました。案の定、この建物は患者様が使用する2,3階と4階以上の住民が使用する階段が同じなので、2階から3階行く内階段を作らない限り医療施設としては許可できないとの回答でした。これでは、市場調査の結果を見るまでもなくF先生には開業に不適格な物件なので、不動産契約を中止ししたほうが良いと回答しました。F先生から、契約直前で欠陥が判り助かりましたと、お礼を言われました。

 皆様は、コンサルタントがこんな基本的なミスをするはずがないと思うかもしれませんが、本当の事なのです。以前も、これと似たような階段に関する相談があったので書きます。それは、10数年前に北区のG駅で婦人科を開業するためにビルの賃貸借契約を行ったH先生のことです。H先生はIコンサルタント会社のアドバイスで賃貸借契約を行い、平面図を作成して保健所へ事前相談に行ったところ、このビルでは開業を許可することは出来ないと言われたそうです。そこで、困って私のところに相談に来たのです。そこで、私はH先生へ物件のある階数を聞くと、4階と回答しました。4階と聞いて平面図を見せてもらうまでもなく、なぜ開業できないか想像がつきました。
 それは、当時、婦人科が新規開業を行う場合は、3床以上の病室を設置しなければならなかったからです。この病床基準を知らないで、不動産契約をしてしまったのです。病床設置基準では、2階に病床を設置する場合は避難階段が1か所あれば良いのですが、3階以上は避難階段が2か所以上なければならないのです。これも基本的なことを知らないために起こった出来事です。
 H先生が困っていたので、これまで10か所以上、婦人科の開業をお手伝いして同じようなケースに直面した経験があり、どうすれば開業できるかのノウハウも持っていたので、保健所と話し合いを行い、無事に開業させることが出来ました。

 今もそうですが、10数年前も病床設置基準をクリアするテナントビルは、非常に少ないのです。そのため、婦人科が新規開業できないケースがあったのです。私は、この基準が病院の病床設置基準であり、この基準を診療所にも当てはめていることに問題があること知っていたので、東京都医師会及び母体保護協会へ病床設置基準がテナントで開業を希望している婦人科の障害になっている旨の上申書を書き、提出しました。この上申書が聞き入れてもらえたかどうかはわかりませんが、4年後に条件付きで病床を設置しなくても良いことになりました。これで、婦人科の開業が楽になりました。

 何度も書いていますが、大きな会社でも本当にコンサルティングが出来る人が少ないのです。コンサルティングの基本を知らないため、開業場所へ足を運んで住民のヒアリングを行っている人が少ないのが現状です。知っていたら、上記のA先生やF,H先生のように困ることが出てこないと思うのです。新規開業を行う場合は、必ず新規開業を何か所、手掛けたかを聞いてください。そして、少なくとも30か所以上の開業コンサルティングを経験した人を選んで下さい。

 次回は、また市場調査に関連したことを書きます。
 お読みいただきまして、ありがとうございます。



  





 
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